「ハドソン川の奇跡」を観た感想 「なぜ「英雄」が「容疑者」扱いされたのか」

最初から最後まで目が離せない映画でした。興味のある方は是非劇場で観てみてください。


■ストーリー

乗員乗客155名を乗せた旅客機がニューヨークを飛び立った直後バードストライクに遭遇し、左右のエンジンが停止してしまう。
機長のサリーは、高層ビルに激突する恐れがあるが着陸の難度は低い空港での緊急着陸か、高層ビルとの激突の恐れはないが、難度の高い川への着水の二択を迫られる。
サリーは現在の高度や飛行機の状態、空港までの距離等様々な状況を即座に判断し、川への着水を決断した。
結果、見事、着水を成功させ155名全員が生還することが出来た。。
世間は彼を英雄と呼び、奇跡だと称るが、彼を待っていたのはこの不時着事故の責任の追及であった。
サリーは自分の判断は正しかったと証明しなければならなくなり……

■感想

日頃の生活ですら判断を迫られた時、どうしようどうしようといつまでたっても決断できないわたしですが、もし自分が沢山の人の命を預かり、一刻も早く正しい判断を下さねばならない時、わたしはサリー機長達のようになれるだろうか?
そして、誰からなんと言われても「正しい判断だった」と断言出来る強さや誇りが自分にはあるだろうか?と思いました。
そうなりたいなぁと思います。

また、事後に第三者の我々は「あれは間違った判断だ、もっと最善策があったはず」と分かったように語ることがありますが、それって自分が同じ立場になった時に本当に出来るのかな?と考えないといけないなと思いました。


■なぜサリーは諮問され、容疑者扱いされたのか。

※以下ネタバレを含みます。一度鑑賞してから読むことを推奨します。

飛行機の緊急着水について調べてみると、アホみたいに難度が高いそうです。水平角度や入水角度が少しでもズレると機体が回転し大破してしまう神業レベルの操作が必要だそうです。
つまり、サリーの決断は、わずかなミスで乗員乗客全員の命を失いかけない大変危険な判断だったのです。

更に、バードストライク直後、管制塔からは空港での緊急着陸を指示されていたにもかかわらず、サリーは独断で危険な着水を選択しました

それゆえ、第三者から見た場合、独断で危険な判断を下し、乗員乗客の命を危険に晒したと取ることができるのです。

サリーは自分の立場は正しかったと主張しますが、それでも本堂に自分の判断は正しかったのか?と考えてしまったり、コンピューターによるシュミレーションの結果は安全に空港で着陸出来たという結果が出たこと等、彼はどんどん追い詰められていきます。
それでも、諦めず、自分の仕事の誇りや家族のために自分の判断は正しかったと証明し続ける姿がとてもかっこよかったです。

また、世間はサリーの偉業を奇跡だと称えますが、彼はこれに対し、日頃の訓練の成果、乗員の適切な行動、乗員の協力、救助隊の協力等があったからだと答えます。

この事件の奇跡とは、機長達や救助隊の常に最悪の事態に対応するために訓練の賜物であり、奇跡とは意図して起こすことのできない良い結果であるとするなら「奇跡」という言葉は失礼な言葉なのかもしれません。

ともあれ、このようにインフラを支える人達の日頃の並々ならぬ努力に感謝しなければなぁ。

■感想2

バードストライク直後から着水までのやりとりがとても臨場感があり、本当に自分がそこにいるかのような緊張感がありました。
ちょっと飛行機に乗るのがトラウマになるレベルです。
また、いざという時には、助け合う人達の善意の美しさに感動しました。

あと最後の副機長のジョークがたまらんw

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